
そうか、あなたは翻訳者か。それなら、言葉に対する思い入れは深いはずだ。適切な言葉を探して知恵を絞る挑戦を生きがいとし、当然ながら、分詞と動名詞の違いも分かっている。スタイルや規定の用語、文化的なニュアンスはもちろんだが、何よりも仕事の質にこだわるはずだ。あなたは言語学者であり、ライターであり、文化の専門家であり、数多くの分野のエキスパートであり、研究者であり、IT専門家であり、グラフィックデザイナーだ。いわば、1人オーケストラと言ったところか。自主的に働き、完璧の追求に突き動かされている。
そう、あなたは翻訳者だ。それなら、読めば読むほど退屈なテキストに長時間向き合っていることだろう。取り組んでいるのは、誰にも読まれない自動車業界の長たらしいマニュアルかもしれないし、誰にも必要とされないヘルプファイルかもしれない。気候変動や環境保護に関心がなくても、文を再利用することを強いられていたりする。そうそう、それから瞬く間に落ちていく翻訳レートに、タダで翻訳を依頼されるのも時間の問題だと思っているかもしれない。




